どんな病気を診てくれるの?
頭痛
- 脳神経外科の外来で一番多い症状で、「締め付けられるような」、「脈打つような」、「電気が走るような」などその性状は様々です。
- 脳の病気とは無関係のものが多いのですが、時に脳腫瘍や軽症のくも膜下出血が頭部MRIやCTで発見されることもあります。また、副鼻腔炎(蓄膿症)も頭痛の原因としてよく見られます。
手足のしびれ、脱力
- この症状を訴えて脳神経外科を訪れる患者さんも多く見られます。
- 「両手足の先がしびれる」、「片足に力が入りにくい」などしびれ、脱力の部位、性状は様々で、脳の病気以外にも脊椎の変性や変形、糖尿病の末梢神経障害でも同様の症状が発現します。
- 左右どちらかの手足の脱力、しびれに加えて、ろれつ難や顔の麻痺(片方の口元が下垂する)を伴う場合は脳の病気が原因であると考えられます。
めまい、フラフラ感
- 耳鼻科的疾患(メニエル病など)や起立性低血圧症などが原因である場合が多いのですが、体のバランスや運動調節に関わっている小脳の病気に起因するものもあります。
- 小脳の脳腫瘍や脳梗塞、特殊な変性疾患がその代表です。
意識消失、失神発作
- 血管迷走神経反射、不整脈、てんかん発作などが考えられます。
- 特に中、高齢になってから初発した、てんかん発作は、脳腫瘍が潜んでいる可能性があります。
歩行障害
- 有名なパーキンソン病を始めとする脳疾患の他にも様々な原因で生じます。
- 加齢に伴う全身の筋力低下も主要な要因の一つですが、脳の中の脳室という所に脳脊髄液が貯まってくる「特発性正常圧水頭症」や、軽微な頭部外傷後1〜3ヶ月経過して発症する「慢性硬膜下血腫」が判明することもあります。
- これらの病気が原因である場合は、比較的簡単な手術を行うことにより、多くの場合歩行障害は改善します。
認知症
- 記憶力は年齢とともに衰えるもので、特にご高齢の方の場合は病的なものか否かを判断するのが困難な事があります。
- 病的な記憶障害の多くはアルツハイマー型認知症や、脳血管障害(脳卒中)の後遺症としての認知症ですが、「特発性正常圧水頭症」や「慢性硬膜下血腫」による場合もあります。これらの病気が原因であれば、手術が極めて有効です。
顔面のけいれん、痛み
- 顔の片側がけいれんしたり引きつったりするのが「片側顔面けいれん」、食事や歯磨きの際に顔の片側(多くは顔の下の方)に激しい痛みが走るのが「三叉神経痛」です。脳の動脈によって顔面神経や三叉神経が圧迫されて発症する症例が大部分ですが、まれに小脳のそばに脳腫瘍が見つかることもあります。
- 各症例の状況に応じて、薬物治療や手術(微小血管減圧術)を選択します。
視力、視野障害
- 脳の病気と関係無さそうですが、多くの脳疾患が視力障害や視野欠損に関与しています。
- 代表的なものは脳下垂体やその近くに発生する脳腫瘍で、典型的には両眼の外側が見にくくなります。診断にはMRIが威力を発揮します。
物が二重に見える(複視)
- 脳の病気の存在を疑わせる重要な症状です。
- 左右の眼球の動きがアンバランスになった場合に物が二重に見えてきます。脳動脈瘤や海綿静脈洞部の動静脈瘻(どうじょうみゃくろう)が原因であることがあり、脳血管の精密検査を要します。
- 特に、眼球が外側に向いてまぶたが開かなくなった場合は、くも膜下出血の前兆である可能性が高く、脳動脈瘤が存在すれば早急な根治手術を要します。